2024/04/10 22:28
LIFESTYLISTのプロダクトに使用しているレザーは、フルベジタブルタンニン鞣し(科学的な薬剤を使わず自然界の力で革を鞣す技法)の技術で、国内、海外からも高い評価を受ける栃木レザーの高品質な革を使用しております。
栃木レザー株式会社
栃木県で1937年から続く、老舗の皮革製造メーカー「栃木レザー株式会社」 牛ヌメ革(ベジタブルタンニン鞣し革)を専門に製造しており、日本一といわれるほどの品質を誇ります。
しなやかで堅牢であり、さらに年月が経つにつれて、味わい深く変化していく栃木レザーの牛ヌメ革 は、世界中で高く評価されています。
また、皮を鞣す過程では、大量の水を必要とします。工場では地下水を使い、製造過程でうまれる廃水は、工場に併設された大規模な浄水設備で、浄水します。浄水して川へ流す所までの管理を徹底している、環境へも配慮した貴重なタンナーさんです。
※フルベジタルブルタンニンで鞣されたヌメ革。栃木レザーのヌメ革は、しなやかで弾力性のある柔らかさが特徴。
まず最初に、
鞣し(なめし)という行為は、本来捨てるはずの皮を再利用した天然素材の副産物であるということを理解していただけたらと思います。
牛レザー製品は、100%食肉牛の皮で作られています。肉を食べる人がいることで生まれた資源なのです。
自然の恵みを人間の知恵で捨てることなく、利用できる資源に、そこに先人の知恵と生き物への感謝を込めて生み出されるのが栃木レザーの製品です。
現在は、人口の増加や世界的な食生活の変化によって生まれる問題で、材料である原皮の供給も不安定な状況にあります。
生き物の皮はそのままでは、直ぐに腐敗してしまいます。
タンナーの仕事は、乾燥や洗浄、タンニン鞣し、プレス、染色など様々な工程と時間を経て、「皮」に新しい役割と命を吹き込み「革」へと生まれ変わらせます。全ての工程に、とても手間がかかり、緊張感があり、美しい。
それは、失われてしまった命に、もう一度、命を吹き込むための仕事です。
塩漬けされて輸送されてきた原皮を洗浄する様子。
水を含み重量のある皮を男性2人がかりで行う大変な作業です。
ベジタブルタンニンピット。化学物質を使わない、植物由来のタンニン溶解液がはいっており、細かく濃度が調整された160ものピット槽につけ込まれ、20日間程度でなめされていく。
栃木レザーのこだわりであるフルベジタブルタンニンの原料となっているミモザと溶解液を攪拌する様子。創業期からの経験の蓄積によって生まれた独自のレシピで作られています。
付け込まれた革は、再度洗浄された後、天然の魚の脂をくわえられ、セッターと呼ばれる革を伸ばす作業を経て乾燥工程にはいります。革の厚みや、天候に合わせて自然乾燥されていきます。
多くの工程を経て、私たちが普段見るレザー製品に近づいてきます。とても美しい風景です。
レザー鞣しの工程では、洗浄やタンニンピットを繰り返すため大量の水を必要とします。
栃木レザーでは、工場で使われた水、汚水を全て自社で浄水しています。
何層にも分かれた大きな浄化槽。「曝気」という手法で、汚水に空気を含ませ、バクテリア/微生物の力を利用して水と土に分離させていきます。途中で酵素を入れますが、それもバクテリアの栄養分。綺麗になった水は、隣を流れる川へと流れます。
曝気(ばっき)という方法で、ブクブクと空気と水を攪拌しながら、バクテリア、微生物の力で段階的に汚水を中和させていきます。
自然の力を利用して、透明度のある水にまで浄化され、川に戻されます。
汚泥として振り分けられて残った土は、石灰やコラーゲンを含んだ栄養価の高い土なので、石灰を好むお野菜を育てる農場へ肥料として、福島の土壌汚染の強い土地へ土壌改良剤として運ばれるそうです。
全ての工程において、強いこだわりと信念をもち、自然が生み出した恵を、地球に還っていくところにまで配慮し、責任を果たしていくクラフトマンシップ。
工場を案内してくれた、遅澤さんがレザー業界の基準であるエコレザーについて、こんな話をしてくれました。
「エコレザー認証を取得するためには、規定量以内の化学薬品や排水、廃棄物とすることが、義務化されていますが、栃木レザーでは、そもそも該当する化学薬品を使用しておらず、排水も自社で浄水しているため、僕たちはあえてエコレザーと言いたくないんです。」
この話を聞いた時に、環境を大切にする気持ち、先人達の知恵と思いを受け継ぐ姿勢に感銘をうけました。LIFESTYLISTでは栃木レザーの革を商品化させていただき販売することを通じて、ストーリーを伝えていき、栃木レザーという企業を応援していきたいと感じました。
LIFESTYLISTのプロダクトを通して、生産背景や自然から生まれた素晴らしい素材のストーリーを一人でも多くの方に知ってもらうきっかけとなれば嬉しいです。