2024/04/10 22:42
長く洋服に携わる仕事を続けてきた中で、 洋服が人の行動や心に強く影響することを知りました。
外出をする時に、
人にどんな風に思われるのか?
この服装であっているのか? 現代社会では、大なり小なり、そんな思考が働くものです。
それとは真逆の場所が「家の中」
全てが自由。全てがあなたのための世界です。
何を着て、何を話し、何をしていても誰にも干渉されることのない世界。
日常の「家」での時間が、穏やかに、美しく、品良く、心地よく落ち着いた時を過ごすことができるように。
そのための服として『Calm Dress』を考えました。
着たときの美しいシルエットやボリューム。
とても柔らかなオーガニックコットンのナチュラルなシワ感。
LIFESTYLISTのために糸から編み立てていただきました。
近くで見ると、とても細かなヘリンボーンになっています。
通常のシンプルなワンピースであれば2枚は作ることのできる、
用尺約5メートルの生地を贅沢に使用し、
12パーツのはぎを縫い合わせた、やわらかく裾に広がるデザインのドレスです。
肩からバッグにかけての紐を利用して、身長や体のパーツのサイズに合わせて、自由に調整することができるデザインです。
このドレスができあがるまでの裁断と縫製工程は、
福島で20年余りご兄弟で営んでいるとある工場にお願いしております。
実際に足を運ばせていただいた際に、物作りに対してのお話をお伺いすることができました。
20年間このお仕事を続けてこられた理由は何だと思われますか?
>「生地」と「糸」と「形」
組み合わせは何万通り、何億通りとある中、
20年間、一つとして同じものを作ったことはなく、毎回の経験値が全てでした。
洋服づくりは、デザインからパターン起こし、裁断、縫製まで
一人ではできない共同作業をどう繋げていくかがとても大切です。
毎日が勉強で、時代の流れで、物作りに対しての正解も時代に合わせて変化してきているので、
常に柔軟に捉えて、自分たちの技術が求められているなら、真剣に向き合って挑戦していく。
自分にはこれしかなかった。だから、今も続けている。
とおっしゃられていました。
そして、私がこのCalm Dress はいかがしたか?と聞くと皆さんが失笑。。。
意味がわからず ??? と不思議そうにしていると
『大変でしたよ〜!!こんなに細かく何枚もの生地を縫い合わせる事なんて、通常のお仕事ではないですから!
まさか、裏地まで分かれているとは。。最初の仕様書を見たとき気づかなくってね。。。想定していた時間を大幅に超えました(笑)
通常のワンピースの倍以上の生地を使用していますから!裏地も!』と笑ってお話してくれました。
内容としては嫌がられているような内容ですが、皆さんは笑いながら楽しんでいるように見えました。
きっと、デザインが届いた時に、皆さんの20年の蓄積された知恵と経験値が
発揮されたドレスだったのかな?と、私も少し嬉しくなりました。